隠れたいちご名産地!恵那山麓のいちごの美味しさを農家さんに聞いてみた【恵那中津川いちご狩り・直売所リスト付き】
恵那・中津川は、実は美味しいイチゴができるエリアらしい。
スーパーにずらりと並んでいるのは九州や愛知のイチゴ。でも、スーパーや産直市場で見つける恵那・中津川のいちごは、真っ赤で甘くて、地元というひいき目を抜きにしても美味しいし、いちご狩りスポットにも困らない。
そんな隠れ名産地、恵那山麓のいちご生産者のうちの1つが、中津川にあるフカミファーム。代表の深見賢哉さんは、2017年に中津川にUターンし、家業を継いでいちごを栽培しています。
小さい頃から恵那山麓のいちごを食べて育ち、現在は若手生産者としていちご栽培に取り組む深見さんに、恵那山麓のいちごの美味しさと楽しみ方を教えてもらいました。
<話を聞かせてくれた人>
深見賢哉さん
岐阜県中津川市出身、在住。フカミファーム代表。中津川市内の高校を卒業後、大学進学を機に関東へ。卒業後は不動産系の法人に就職。働く中で「ものづくりを通じて人に喜んでもらう仕事をしたい」と感じるようになり、2017年、家業を継ぐために中津川へUターン。
いちごの甘さは、恵那山麓の冬の寒さから
いちごシーズン、外は寒々しい景色の中、温室に入ると中はぽかぽか。
「今日は暖かいね!」と深見さんが言う通り、編集部も深見さんも上着がいらないほどの温度です。
「朝は寒いのに、日中これだけハウスの中が暖かくなることが、恵那山麓のいちごが美味しい1つの大きな理由なんです。
他の野菜や果物にも当てはまりますが、いちごの場合は寒さから身を守るために甘くなるので、ある程度寒い場所じゃないと、甘みが蓄えられないんです。」
一般的に大きないちごの産地といえば、太平洋側や九州地方などの温暖なエリア。たくさんのいちごを、冬の初めから収穫するのには温暖な気候が欠かせません。その一方で、いちごの甘さを引き出す鍵となるのは、朝晩の寒さ。
恵那山麓が持つ、山間地特有の寒暖差のおかげで、いちごの甘さが蓄えられているんです。
そしてもう1つ、いちごの栽培で大事なのが、水。
「いちごはほとんどが水分なので、栽培にもたくさんの水が必要なんです。例えばうちだと、1つのハウスだけで1日に1トンの水を使います。」
「恵那山麓エリアは、田んぼのために農業用水がしっかりあったり、井戸水が使えたりと、天然の水がとにかく豊富です。他のエリアでは、水道水を使っていたり雨水を溜めて濾過したりという話も聞くので、天然の水が当たり前のようにこれだけあるのは、いちご栽培に向いているなと思います。」
当たり前のように山に囲まれた場所で過ごしていると気づかないものですが、街中でも川が流れ、夜になると一気に冷え込む恵那山麓エリアの気候は、美味しいいちごが育つエリアと言えるんです。
恵那・中津川のいちごを手に入れるには?
ここまで恵那山麓のいちごが美味しく育つ理由を深見さんに教えてもらっていましたが、実際に恵那山麓のいちごを手に取ったことが無いという人もいるのではないでしょうか?
「恵那山麓のいちご農家さんで、外のエリアに出荷している農家さんはほとんどいません。産地としての生産量は多く無いので、直売所や産直市場などで、ほとんど売り切れちゃってるんですよね。」
せっかく美味しいいちごが取れるのになんだかもったいないのでは?という気もしますが、深見さんは「美味しいいちごを食べるという意味ではいいこと」だと言います。
「いちごは身が柔らかいので、長時間の輸送には正直あまり向いていませんし、りんごなど他の果物に比べて日持ちもしません。痛みやすくて鮮度がすごく大事な果物なので、地元で収穫して、地元の直売所や産直市場で採れたてが買えるのは、美味しいいちごがすぐに食べられるいい環境だと思います。」
地元のいちごの美味しさを、もっと地元の人にも、恵那山麓を訪れる人にも知って欲しい!そんな思いで活動する深見さんは、恵那山麓の他のいちご農家さんとも繋がりを深めています。
「恵那山麓のいちご農家さんは、僕が知る限り、個性があって、こだわりを持ってやっている人が多いです。
例えば、上矢作のいしかわイチゴ農園さん。環境に配慮して、薪ストーブ・薪ボイラーを利用したり、観光農園にも力を入れています。
それから、三郷の阿部農園さんは、障がい者の方が農業を通じて生きがいを実現する農福連携にこだわっています。
岩村の原農園さんは、一般的に栽培されている冬春いちごだけでなく、夏いちごの栽培もしています。
串原のなかがき農園の中垣さんは、いちご感謝祭というイベントを企画するなど、地域の農業の横の繋がりを意識して活動しています。」
生産量こそ多くなくとも、恵那・中津川はこれだけ様々な個性を持った農家さんがいる、隠れたいちごの名産地。いちごの品種も、紅ほっぺ・章姫を中心としながらも、それ以外の品種を栽培している農家さんもいます。
好きな栗きんとんを買いに和菓子屋さんに出かけたり、カフェでコーヒー豆を選んだりするように、好きないちご農家さんを自分なりに探してみるのも、通ないちごの楽しみ方。
「僕が一人の中津川のいちご農家として大事にしているのは、地元の人たちの、ちょっと特別な時間をちゃんと作れる農家でありたい、ということです。いちごは毎日食べるものじゃ無いけど、特別なことがあった時に、きちんと美味しいものを届けられるようにしたいし、地元のものがいいねって選んでもらえると嬉しいです。」
「僕以外にも、恵那山麓には色んないちご農家さんがいます。スーパーに並んでいなくても、必ず地域の中で手に入れることができるので、ここに住んでいる人も、そうでない人も、ぜひ春先に恵那山麓のいちごを手に取ってもらいたいですね。」
産直市場や道の駅、スーパーで見かけた時。もしくは、農家さんそれぞれの直売所やマルシェ、いちご狩りなど。恵那山麓のいちごをゲットしに、ぜひお出かけください。
<編集後記>
記事の中には収まらずカットしましたが、取材中、いちご大福が話題に。「いちご大福は大福が甘いから、ちゃんと酸っぱくて、食感もシャキッとしているものが大事」との深見さんの言葉を聞いて、いちごの食べ比べの次は、いちご大福の食べ比べだ!!と、ワクワクする編集部なのでした。
<恵那山麓(恵那・中津川)いちご農家さんリスト>
※直売所でのいちごの購入やいちご狩りなどは、事前にwebページやInstagram等でのご確認や、お電話やダイレクトメッセージでのご予約がおすすめです