【小商い】すきなことを、続けるということ。|移住とお金のリアル01

大阪出身、2014年中津川市に移住。元証券マンでありファイナンシャルプランナーでもある写真家兼業農家の小池菜摘が、小商いやお金について体験談と共に綴るコラムです。


中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2017 にて

みなさんのすきなこと、ってなんですか。
それはいつから続いていますか。
そして、いつまで続けて生きたいですか。

|すきなことを、仕事にするということ

岐阜県中津川市で写真家兼業農家として暮らしています、小池 菜摘です。
自分がすきで、なくてはならない写真と云うものを仕事にして、生計を立てています。

私は写真が大好きです。
撮るのも、見るのも、それを見て喜んでいるひとや泣いているひとを見るのもすきです。
それは私が4歳の時に弟が生まれたことをきっかけにはじまったので、もう27年になります。

かつて私の人生に於いて、何度も写真を仕事にするチャンスはありました。
中学受験をするのだと決まった時。
大学に進学する時。
就職活動をする時。
いずれも選択肢としてはあって、頭にもあって
それでも私は誰に言われるわけでもなく、それらを選びませんでした。
なぜなら
・好きなことを仕事にするとしんどい
・好きなことで稼ごうなんて甘い
・好きなだけで特に専門の学校も出ずにプロになるなんてできない
と言うどこかで聞いたような話を鵜呑みにして、勝手に無理だと決めつけていました。


2016年、恵那山麓にて

それを仕事にしたのは、2012年のことでした。
2011年に東日本大震災が起きて
私はその時証券会社で日本株式のトレーダーをしていました。
トレーダーが何か、わかる必要はないのでググらなくても大丈夫。
とにかく、私はあの大きな、たくさんの命が消えていく瞬間に大喜びしているひとたちがいることを知りました。
知りたくなかったことを、知ってしまいました。

いつ死ぬかわからないのだから、という当たり前のことを自分事として捉えるようになったことと、
その瞬間までは大好きだったはずの仕事を、どう頑張っても愛することができなくなったことと。
二つが合わさって私は写真を仕事にする決意をしました。


model : かね子はる / 中津川市某所にて

|すきなことを、仕事にしてみて気づいたこと

はじめに、会社員時代の貯金を持ち出して、最低限の機材を揃えました。
同じくそのお金でチャンスがあるかもと思った場所にはどんどん行きます。
そして撮らせてもらえる場所をいくつも見つけました。
しかし結論から言えば、私の始まりは大失敗でした。

私の写真で、やっとこう、その力を発揮して色々ができることに喜びを感じていました。
・誰かに喜ばれること。
・その技術を認められること。
・自分の写真が人の役に立っていると言う実感
それらがたまらなくて、「ぜひお願いしたいんだけど予算ないんだよね〜」と言う言葉に
「良いです!ぜひやらせてください!」なんて。
そして、手元のお金が乏しくなって「ごめんなさい、もう続けられないです」なんて言うと違約金を請求されたりなんかして。(今思えば契約もしてないのに違約金なんておかしいんですけれど、その時には支払わなきゃと言う気持ちでいっぱいでした)
そうして自分の貯金が底をつきたところでカメラが故障。
家計に手を出して修理してから、ふと我に返ります。

お金がなかったら大好きな写真を続けることすらできないんだ。


model : 九野麿衣 / 中津川市某所にて

|すきなことで、生きていくと云うこと

すきなことを仕事にするのは簡単です。
「今日から私は●●を仕事にします!」
と宣言するだけです。
必要なら資格をとり、肩書きを整えます。
はじめから完璧じゃなくても、ちゃんと仕事になります。本当にそれが、すきならば。
でも、仕事として"続ける"のには
「嬉しい」「幸せ」なだけではどうも足りないようです。
必要なのは"覚悟"なんじゃないかな、と私は思っています。

たとえば、自分を自分で認める覚悟、とか。
たとえば、苦手なお金のことを克服する覚悟、とか。
たとえば、より良いモノを生み出すために努力し続ける覚悟、とか。
人それぞれに必要な覚悟は違うかもしれません。
もし、「すきなことを仕事にしたい」と思っているひとがいたら。
ぜひ考えてみてください。


2017年、我が家にて